フリーライターの“よしおとよしこ”の企画置き場です。姉妹ブログ、『よしおとよしこの企画捨て場』(http://kikakuinu.exblog.jp/)は永遠のライバルです。アッチが生ゴミなら、コッチは粗大ゴミで勝負だ!


by yoshiotoyoshiko

企画置き場①

●企画名
「勝利者インタビュー ON THE お立ち台」
●企画趣旨
 お立ち台。それは誰しもが憧れる聖地。勝利をこの手でもぎ取り、お立ち台で勝利者インタビューを受けられたら死にたい。誰しもが抱く、熱く崇高なる想い。
 でもね、お立ち台も勝利者インタビューもトップ体力馬鹿に奪われているのが当世事情。あえて市井の勝利に恵まれない人々のために、お立ち台と勝利者インタビューをお膳立てする企画。どんな勝負でもいい、どんな勝利でもいい、別に負けてもいいや。とにかく念願のお立ち台の上で勝利者インタビューに毎回、誰かが答えるわけです。
●企画サンプル
□第一試合 男のこだわり IN 亀の湯
 勝者:鈴木一郎(42歳)
 敗者:林真治(6歳)
□本文:
 鈴木一郎の楽しみは週に一度の銭湯通いだった。男は無職だった。亀の湯の暖簾が大きく揺れた。雲突く大男、鈴木だった。男は番台の親父越しに女風呂の方をチラリと覗いた。ババアばっかりだった。鈴木はもどかしげに汚れた衣服を脱ぎ捨てた。匂った。臭かった。
 鈴木は浴室の扉を勢いよく開けた。一目散に湯船に飛び込んだ。お湯が、激しく舞った。
「おじさん、体を流してからじゃないと、入っちゃいけないんだよ」
 鈴木の生き様に異を唱えるものがいた。親の金で銭湯に通う、小学生だった。男はお湯を掛けた。バシャ、バシャ、掛けた。無心だった。
「や、やめてよ」
 鈴木の無言のお湯責めだった。まだお顔にお水が怖い小学生は悲鳴を上げた。職人魂の勝利の瞬間だった。ついには小学生は両手で顔を押さえながら、立ちあがった。…。鈴木の目が小学生の下半身に釘付けになった。デカかった。小学生のくせに肥沃な大地だった。男は俯いた。恥を知る男の仕草だった。違った。鈴木はお湯越しに自分のモノを見ていた。
「大きくなーれ」
 小声だった。確かに聞こえた。鈴木の声だった。効果はまるでなかった。男は目を瞑った。プロジェクトは暗礁に乗り上げたかに、見えた。
「ぼく、何かスポーツでもやってるのかい?」
「え?う、うん、サッカーやってるよ。キーパーなんだ」
「そうか、キーパーか」男の声が弾んだ。「なら、仕方ないよね?」
 鈴木は己に問うた。大きく頷いた。何度も何度も頷いた。「キーパー、キーパー」。そ
う呟きながら。大人の生き様に胆を冷やした小学生は洗い場へと去った。男の言を借りれ
ば、まるで負け犬のようだった。
 鈴木の顔は真っ赤だった。湯当りだった。だが、男の目は死んでいなかった。血走った目は銭湯内に次なる挑戦者を求めていた。いなかった。いるのは大人と先程の小学生のみだった。その刹那、男の耳に朗報が届いた。歴史は動いた。
「パパ、オフロ。おっきいオフロあるよ」
 戸口に幼稚園児くらいの子供が現れた。「お前にだけは絶対負けん」。鈴木は己を鼓舞した。満面の笑みを浮かべた。父親を待つ風情の子供を手招きした。スナップが効いていた。子供が鈴木に近づいた。後に伝説となる戦いが始まった。
 子供は不思議そうな顔で突っ立っていた。鈴木はその下半身を凝視した。血潮がたぎった。すぐさま湯船から立ち上がりかけた。男は己を戒めた。もう一度肩まで浸かった。子供のアレを指差し確認。自分のアレを指差し確認。指差し確認は、勝機を告げた。
 子供は猿真似で指差し確認をしていた。稚拙だった。男はついに立ちあがった。まざまざと己の下半身を見せつけた。子供の甲高い声が銭湯内に響いた。
「あ、ちっちゃいゾウタンだ」
 子供の思いがけない反則行為に鈴木はキレた。
「せ、世間に嘘つくな。ほら、よく見ろ」男は己の皮を凄まじい剣幕で、ビョ―ンと引っ張った。「どうだ、すごいだろ。この赤ちゃんゾウタンめ!お前にこの仕事ができるか」
 男の一世一代のビョ―ン。子供の目は釘付けだった。隙だらけだった。その道のプロが見逃すはずがなかった。鈴木は子供のアレを指で軽くはじいた。火がついたように泣いた。
「パパ―、ビョ―ンのおじさんがいじわるした」
 敗者は遁走した。鈴木は勝った。父親が来る頃合だった。勝者は洗い場に向った。
 鈴木はシャンプーを始めた。目に入らないように細心の注意を払った。男は目を細め、視線を落とした。でっぷりしたお腹で見えない己のアレを見据えた。
「よしよし、よくやったゾウ」
 勝利を称えた。駄洒落だった。
勝利者インタビュー:
―おめでとうございます。近年稀に見る、ものすごい接戦でしたねえ。
 いやー、正直、お立ち台の上で息子ともどもホッとしています。今までの親子二人三脚の努力が報われてとても感謝しています。
―やはり、この日のために相当厳しい練習を積んでこられたんですか?
 努力を他人にひけらかすのも何ですが、ぜひ聞いてください。毎日欠かさず、朝昼晩と息子に向って「大きくなーれ」とおまじないをしました。ここだけの話ですが失業保険、生活保護を全部つぎ込んで、通販で多種多様な息子が大きくなる器具をゲットしました。
―勝利の陰に通販ありですね。どうですか、お立ち台での勝利者インタビューは?
 いままでいきてきたなかでいちばんうれしいです。
―では、最後に全国のファンに一言お願いします。
 まだまだ、とても若いもんには負けられません。これからも応援よろしくお願いします。

●企画名
「主夫の生活」
●企画趣旨
 某大学の某ミニコミ誌に毎月投稿される、謎の学生の手記。彼は大学生でありながら、主夫でもあり、1児の父でもあるらしい。そんな彼の新しい男の生き様を綴った手記を、勝手にどこかの雑誌に転載した、という設定の企画。
●企画サンプル
 俺には妻と息子がいる。だから、働いていない。とかくこの世は男損女肥。昨今、馬車馬のようにお外で働くのは女、妻の仕事である。最近の小学生のなりたい職業のNO1は、主夫だそうだ。つまり、この俺ってことになる。まあ、男たるものお家でゴロゴロしていてナンボである。酸いも甘いも噛み締めた人生の先達者たる、老人男性たちが家でゴロゴロ寝たきりになっているのを見れば、おのずと人生の神髄が分かるってもんだ。
 正直、主夫はつらい仕事だ。息子がお昼寝するたびにいい大人がいつも一緒にお昼寝するのは、一回こっきりの産みの苦しみに余裕で勝る。世の中ってもんは一回や二回、穴を痛めればいいほど楽じゃない。ああ、なぜか君たち、お気楽な学生さんがうらやましい。
 とりとめもなく学生さんと偉そうに書いてしまったが、実はかく言う俺も某大学の学生さんでもある。12年生です。ふと疑問を抱かれた、オツムのよい方に分かりやすく説明しよう。「1年通学、1年休学」。これを繰り返すと単純な計算で最高、大学16年生になれるのである。本当はこういう裏技を堂々と教えたくはない。しかし、もう特に書くことがないので、徒然に書いてあげたので深く感謝して欲しい。
 そんな俺からみると新入生などという存在は、「告られたら、どうしよう」という恐怖心しか引き起こさない。間違っても「16号館ってどこ?」、「奨学金の手続きしたいんだけど」などの大学職員にすべきタメ口質問を、もう俺にしないでください。
 と、ここまで適当に書いてみたら、急に息子が泣き出したのでオムツを代えてきた。若人を焦らすのもなんなので「でっかいほうでした」とだけ報告しておく。まだ俺に懐いていない息子が大暴れして、俺の手にでっかいほうが付着してしまい、もちろん息子の柔らかいほっぺに茶色い仕返しをした後、キレイに拭いたつもりだったのに、まだ爪の間に滓が残っていたことに、今、気づいた。クソ。
 さて、ある昼下がりのことだった。いつものように匂い立つ息子が飽きずに泣き出した。最近のオムツは高性能なので、「そのうちあきらめるだろう」と以前から一度だけやってみたかった放置子育てを敢行。おお、効果覿面。小一時間もするとさすがに泣き疲れたのか、息子はスヤスヤとねむり始めた。しょせん、赤ん坊。俺は勝利を確信した。
 が、たまたまこういうときに限って、用もないのにやってくる義母―俺にとっての鬼姑―に新種の子育て現場を発見されてしまった。
「ちょっと、よしおさん、これはどういうことですか?」
「いえ、その、お母様、う、うちの実家では…すいません」
 と反論しつつ、すぐさま息子のオムツを替えさせられ、仕事から帰ってきた妻にその旨報告され、妻と義母にネチネチいじわるされた、ほろ苦い過去がある。その間始終、息子の目に優越感が浮かんでいるのを、俺は見逃さなかった。
 ようやく人の家で夕飯を平らげた義母が帰った。どうせ自分の家でもまた食べるくせに、早く死ねばいいのにと思ったその晩のことだった。俺は息子を風呂に入れながら、ついうっかり手を滑らせてしまった。まるで電車の中でついうっかり女性のお尻を撫でまわし続けるかのように。まあ、そういった具合でかわいい息子を湯船の底へと旅立せた、その瞬間だった。親子揃って「趣味はのぞきです」の妻にタイミングよく、ライオンを範とした新種の子育て現場をまた発見されてしまった。
「さあ、がんばれ、オリンピックはすぐそこだ」
 咄嗟に息子に心からの声援を駄洒落で送ってみたが、男と男の夢、駄洒落、オリンピックにまるで理解のない妻にドメスティック・バイオレンスをたっぷり振るわれたうえ、俺と息子の夢、オリンピック潜水自由形金メダルは、無残にも打ち破かれたのであった。
 さあ、これから高尚な何かを書こうと思っていたが、そろそろ息子のお昼寝の時間だ。俺の創作絵本「団地妻と電気屋さん」を息子に読んであげなくてはいけない。
「ああ、電気屋さん、私のスイッチも押してください」
 俺のこなれた朗読に、息子はスヤスヤと眠り始めた。愛い奴め。
*次号は多分、「主夫三昧―俺と息子の予防接種編―」です。ちなみに今号は「主夫三昧―俺と息子のオリンピックへの夢編―」でした。

●企画名
「未決行予告サイト」
●企画趣旨
 ネットで花盛りの決行予告。「今から自殺します」だの「これから小学生殺しにいきまーす」だのと実際にやりかねない危険な予告が多い。しかし、このサイトの予告はまったく危険がなく、しかも実際に決行することはありません。例えば、「今からあややでオナニーします」と予告するもインポで未決行予告に。「これからみかん狩りに行ってきまーす」と予告するもみかん嫌いなのを思い出して未決行予告に。こんな感じの害のない、未決行予告を広く、浅く紹介する企画。
●企画サンプル
未決行予告①
1月1日(月)0:00 トミー
「これから海に行きます。で、初日の出に向って、『バカヤロー!』って叫んできます」

1月1日(月)0:02 トミー
「泳げないことを思い出したのでやめた」

未決行予告②
2月1日(月)14:33 黒田
「これからアイツにコクリます」

2月1日(月)14:44 黒田
「アイツって誰だっけ?」

未決行予告③
3月1日(月)23:54 みりん
「今からコンビニで無駄使いします」

3月1日(月)23:55 みりん
「お小遣い帳が見つからない!」

●企画名
「後ろめたいアンタのための3分人生相談」
●企画趣旨
 平成の巷に溢れる、人生相談。足繁く変わり映えしない人生相談をご利用なさるお客様はほとんど被害者ばかり。被害者面の醜いこと、ここに極まれです。
 昔の坊主がいいことを言ってます。
「善人なんかみんな死んじゃえ。悪人万歳!極楽浄土に生きたいかー?」
 よっぽど善人にひどいことをされた坊主だったのでしょう。
 前置きが長くなりましたが、というわけで加害者専門の3分人生相談を行う企画。すべての加害者、極悪人、坊主に門戸は広く開かれている。被害者は門前払い、あしからず。
●企画サンプル
今回の加害者・山田太郎さん(38歳)の悩み
「私には中学時代から25年間、せっせと片思いを続けている女性がいます。麗子さんって言います。相談とは先日、麗子さんを尾行していたときのことです。もちろん、私も大人、礼儀作法の一つや二つは心得ていますから、いつものように失礼のない距離を保って彼女を尾行していました。麗子さんはいつも何かを恐れるように人通りの多い道しか歩きません。いい大人なのに臆病なんです、彼女。まあ、そこがまたたまらんのですが。
 そんな麗子さんがめずらしく人通りの少ない、お誂え向きの薄暗い竹林の横を足早に通り過ぎようとしました。「遅れをとっては申し訳がない」。私の頭はそのことで一杯でした。気付くと麗子さんに追い付き、その勢いで彼女を竹林の中に押し倒していました。まあ、25年来の麗子さんへの想いが自然体で溢れ出ただけで、他意はありませんでした。で、据え膳食わぬは男の恥と言いますし、なぜか勃っていたので、私は麗子さんと竹林の中で無事に結ばれました。もちろん、ちょっとした火遊びのつもりなどは毛頭ございません。その誠意の証として、ちゃんと中出ししました。ただ一つ気になっていることがあるのです。「一回竹林で寝たくらいで、カレシ面しないでよ」と麗子さんに言われたらどうしよう、ということです。もう気になって最近では麗子さんの尾行にも熱が入りません。私はこの先どうすればいいのでしょうか?」

今回の相談者・一休さん(15歳)の回答
「山田さんは今時めずらしい、純粋で一本気な男ですね。25年間も一人の女性を想い続けることができるのは、変態か山田さんだけです。とりあえず自信を持ってください。お悩みの件ですが、山田さんがなさったことは、俗にいうレイプをなさったと呼ばれる、れっきとした犯罪行為です。ただ「一回竹林で寝たくらいで、カレシ面しないでよ」と麗子さんに言われる心配はまったくありません。オマエには分からんだろうが、それが世の中の仕組みってもんです。他にもっと心配することがある気がするのですが、山田さんならきっと大丈夫です。今まで通り、麗子さんの尾行に情熱を傾けてください。山田さんは後2年もすれば、そのときの場所が狭かれ、どこであれ、不惑を迎えます。そうすれば今のような悩みは一切なくなります。騙されたと思って、それまで我慢してください。あ、そろそろ3分なので、終了します」
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by yoshiotoyoshiko | 2007-04-18 22:52 | 企画置き場