フリーライターの“よしおとよしこ”の企画置き場です。姉妹ブログ、『よしおとよしこの企画捨て場』(http://kikakuinu.exblog.jp/)は永遠のライバルです。アッチが生ゴミなら、コッチは粗大ゴミで勝負だ!


by yoshiotoyoshiko

企画置き場⑦

●企画名
「泣き女ソムリエ(ソムリエシリーズ第一弾)」
●企画趣旨
 時折、夜の街などで見かける、一人寂しくシクシク泣いている女の子。「ああ、かわいそうに。どうして泣いてるのかなあ」→「やさしく声を掛けたらヤレるかなあ」→「でも人目もあるし、ろくでなしみたいに思われそうだから日を改めよう」との負け犬思考回路を上手に駆使して後ろ髪を引かれつつも、泣いている女をその場に残して立ち去ってきた甘酸っぱい青春の日々。そんな夜のオナニーは燃える。
 でもよくよく考えると、「超もったいない」ということを発見したので、泣いている女の子を発見したら、「うーん、アレは1980年もの。スカートをはいているから埼玉産。まだ青臭いがいけないことはない。多分彼氏に『お前なんか汗臭い』と置き去りにされたのでしょう」と泣き女ソムリエしてから、「どうしたの?」と勇気を出してやさしく声を掛けて、どうなるか試してみる企画。「泣いている女は落ちやすいのか」を一応テーマとする。
●企画サンプル
泣き女のイラスト:新宿駅構内でしゃがんで泣いている女
泣き女ソムリエ:ウーン、ティスティング。あの豊潤な焼け野ッ原みたいな髪の毛は千葉県産。うっすら見えるピンクのパンツの柄は1985年産。ロマネなんたら並みのテレクラ価格は「イチゴーでいいよ。聖水はおしっこよ」。まだまだ青臭いが、生理中真っ盛りの顔をしているので、高級ワインで言えば赤の5年もの。泣いている理由は、ウーン、ティスティング、タンポンを買うお金がないから。
本文:
 時は既に24時。新宿駅構内は終電間近の喧騒を極めていた。家路を急ぐ大人たちをあざ笑うかのように、一人の少女が人込みの真ん中でしゃがみ込み泣いている。人々は興味深々な顔を向けながらも、彼女を遠巻きに避けていく。男たちが彼女にあらぬ想像を膨らませているのが手に取るように分かる。フッ、負け犬どもが。泣き女ソムリエ界の第一人者、本田宗一郎はそう吐き捨てた。彼は人の流れに乗り、自然と彼女に近づいていく。さりげなく彼女の横にしゃがみこむ。
「泣くなよ。タンポンの一つや二つで。なあ、若いっていいよな」
 都会の片隅に咲いた、やさしい言葉。化粧の崩れした少女の泣き顔が本田を捉える。
「警察呼ぶよ」
「110だよ。ほら、使いなよ」と携帯を差し出す本田。「青いボタンを押すと電話が掛けられるぜ」
 少女は困惑気味に握らされた携帯を見ている。
「磯の香りがする。九十九里浜のほとりで大きくなったんだろ」
「ハッ?」
「子供には難しかったかな。つまり千葉生まれなんだろ」
「埼玉だけど」
 本田の顔がほんのり朱に染まる。
「お、大人をバカにするな。朝のホームルームのときに先生の話も聞かず、後ろの席の男の子に『昨日、援交した親父が包茎でさあ、ギャハハハ』っていうタイプがお・ま・え!きっとその男の子も包茎だぞ。どうするんだ、この無責任発言の行方は!」
 畳み掛けられる本田の言葉に、思わず腰を上げかける少女。
「待てよ、まだ泣き女ソムリエ中だろ」と少女の手を掴み、言葉を重ねる本田。「柔らかいんだね。フッ、1985年生まれだね」
「違うわよ!もう放してよ、超ウザイんだけど。一体何なのよ」
「ご存知、泣き女ソムリエリスト・本田宗一郎」
「ハッ?バカじゃないの」
 本気で逃げようとする少女を本田はしかと抱きしめる。少女の甲高い悲鳴。無関心なはずの無機質な人込みから非難がましい視線が飛ぶのみ。本田は焦った。
「じゃあ、これが最後。ラストソムリエだから。聖水と言えば?」
「教会?」
「おお、偏差値38」
 本田の蹴りが少女の顔面を捉えた。泣き女に蜂。日本の泣き女ソムリエの黎明はこうして幕をあけた。
 ああ、新宿の喧騒は夜陰とともに増していくばかり。

●企画名
「オレの渡った危ないブリッジ」
●企画趣旨
 男たるもの人生で一度や二度は危ない橋を渡るものである。「オレさあ、昨日ついに1人で万引きしちゃったぜ、しかも単三じゃなくて、単一乾電池を」、「さっき五人くらいに囲まれちゃってさあ、さすがにボコられるかなあと思ったけど、機転をきかして財布を渡して乗り切ったよ」などの平和で不景気な時代にふさわしい「みんなの危ないブリッジ体験」を独白する企画。
●企画サンプル
小林氏の渡った危ないブリッジ:ラブホで大窃盗ブリッジ
小林氏のプロフィール:1960年生まれの43歳。愛媛県出身。公務員。離婚歴あり。
小林氏の大窃盗場面のイラスト:風呂場で犯罪行為をしている小林氏。
本文:
 ほら、ホテトル頼むときってさあ、まずは一人でラブホに入るじゃん。一匹狼のオレもこの前いきつけの大塚のラブホに一人で入ったわけよ。受付のおばちゃんとももうツーカーの仲だからさあ、「あんまり女を泣かしちゃ駄目だよ」ってからかわれちゃって。「いいBGMになるだろ」って軽口叩きながら、エレベータに乗って部屋に入ったわけよ。
 いきなりホテトルに電話するのも、もてない男みたいでアレだからさあ、まずは風呂場でシャワーよ、シャワー。リンスをするのを忘れて慌ててみたりしながらさあ。でさ、風呂上りは大きいタオルと小さいタオル両方使って体拭くわけよ。ホテトル嬢に「あら、二枚もタオル使ってリッチねえ」なんて言われたらさあ、禁煙パイポ吹かしながら「気分よ、気分」って答えてやるわけね。
 そろそろいい感じに濡れ髪も決まったから、リュックサックから風俗誌取り出そうとしたら、ないわけよ、コレが。さすがのオレもビビッたね。「あれ、どこに忘れたんだろう」ってもんよ。ハタと考え込んだね。どうすればこの危機的状況でホテトル嬢を呼べるかどうかと。
 でも、グッアイデアが浮かばなくてさあ。一度ラブホ出て、また同じ風俗誌買うのももったいないしさあ。まあ、オレくらいになると内線電話を一発掛けるだけで、受付のおばちゃんにホテトル情報の一つや二つすぐリークして貰えるよ。でもプライドがあるんだよね。恥を知る男の生き様ってやつ。
 で、覚悟を決めたよ。オナニーよ、オナニーショー。ラブホでホテトルも呼ばず、一人でオナニーよ。並みの男がマネしたらやけどするよ。これが気持ちよくてさあ。やっぱオナニーっていいもんだなあと再認識しちゃったよ。
 あのねえ、でもこれだけで終わったらオレは、ホテトルを呼ぶためにラブホに入ったのに、風俗誌忘れてパニックってオナニーした男で終わるじゃん。おいおい、冗談じゃないぜ。オレはそんな器の小さい男じゃないぜ。
 だから手を染めたわけよ。反社会的行為にさあ。ここからオフレコね。オレもさあ、確かに常習的にラブホの固有財産、歯ブラシやカミソリ、お茶のパックやシュガー、ミルク、コンドームくらいはそっと懐に忍ばせているよ。もちろんドキドキせずに平常心でね。エヘッ、悪い男だって非難してるんだろ。でもオレはもっと悪党だぜ。
 オレ、風呂場に行った訳よ、そっとね。で、シャンプーのボトルを、中身はそうさなあ、八分目は詰まっていたね、リュックサックに入れたわけよ。後からこれを発見した掃除のおばさんびっくりだよ。「五右衛門、石川の五右衛門が出たわ」って騒いで、ラブホ中大騒ぎは間違いなしよ。
 さすがのオレもドキドキしながらリュックサック背負って、受付に降りたわけよ。何も知らない受付のおばちゃんが「アラ、今日は女の子呼ばないのかい」って驚いてさあ、「今日はそういうことするつもりじゃなくて…」って思わず自白しそうになったから、慌てて金払ってさあ。「あ、お釣くださいね」って捨てセリフ吐いて、そのラブホとおさらばよ。
 え?そのシャンプー?これが恥ずかしい話、リュックサックの中で漏れててさあ。やっぱ極悪なことはするもんじゃないよね。みんなも気をつけろよな。

●企画名
「Mの大冒険」
●企画趣旨
 街ゆく人にこう尋ねます。
「あの、突然で失礼ですが、命令してください」
「はあ?」
「あの、命令してください、ご主人様」
「馬鹿じゃない」
 スタスタスタと、次々と去っていく即席ご主人様たち。「ああ、また放置プレイか」の繰り返しにもめげず、「ご主人様、命令してください」を連発して何とか命令を頂いたら、「はい、ご主人様」で何でもやる企画。
●企画サンプル
即席ご主人様:事務系OL歴8年の淳子様
即席ご主人様のイラスト:ブスのくせになんか偉そう風
本文:
「あの、突然で失礼ですが、命令してください」
 小生、この日、何十回目かの同じセリフを繰り出しました。
「アラ、もうオチンチン大きくなってるの」
 どうせまた無視されると思い、がっかりしようと思っていた矢先の小生は耳を疑いました。
「え、今、何とおっしゃいましたか?」
「オチンチンしごきなさい」
「はい、ご主人様」
 おお、降って湧いたサマーバケーション。渋谷の路上で羞恥プレイなんてありがたき幸せ。小生、震える手でチャックを開けて、お使い途中風情のOLのご主人様にモノをまずご覧頂きます。
「あら、かわいらしい。ホラ、早くしごきなさい」
「はい、ご主人様。あ、あの、ご主人様のお名前だけでもお教えください。ああ、気持ちいい」
「生意気な犬ねえ。淳子よ」
「ああ、淳子様」
 小生、淳子様の為に必死にシコシコしました。街行く人々は、小生のことを変態を発見した目付きで見ながら、通り過ぎて行きます。ああ、快感リーチ。
「なんかもう飽きたわね」
 とそっぽを向く、気まぐれな淳子様。小生、爆発寸前のモノを慌てて仕舞い込みます。
「ご主人様、申し訳ありません。次は何をすればよろしいでしょうか?」
「そうね、あのカップル分かる?」と淳子様が指差した先にはヤンキ-カップルの姿が見えました。「あいつらがここに来たら『いい年こいて、自転車泥棒はやめろ』って注意しなさい」
「はい、ご主人様」
 小生がドキドキしていると、ドンドン例のカップルがこちらに近づいてきます。
「ほら、言いなさい」
「はい、ご主人様」小生はそう答えて、目の前に来たヤンキ―カップルに言い放ちました。
「いい年こいて、自転車泥棒はやめろ」
「あぁ、なんだテメエは」
 ヤンキ―カップルの男が小生の胸倉を掴んできました。淳子様の次なる命令をお伺いするため、小生が後ろを振り返るとそこに淳子様の姿はありませんでした。ああ、放置プレイ。
「てめえ、何ニタニタ笑ってんだ」
「タッちゃん、そんな奴とっととぼこって、早く行こうよ」
「おお、任しとけ」
「いやー、お互いいいご主人様を持てて幸せですよね」
 小生、タッちゃんに親近感を拙く伝えました。
「分けわかんないこと、言ってんじゃねえよ」
 タッちゃんの拳の嵐を受けながら、小生、無事昇天できました。
 ああ、淳子様、次の命令をば、小生、放置プレイのままずっとお待ちしております。

●企画名
「自家製・オナストーリー」
●企画趣旨
 誰もが自分だけのオリジナル、オナニーストーリーを心に秘めている。ねえ、そろそろお互い秘密にするのはやめようよ。思いきってどんなズリネタでシコシコしているのか言い合いっこしようよ、的なノリで自家製・オナニーストーリーを発表する企画。みんなの更なるオナニーライフの充実が目的。
●企画サンプル
美濃部寅吉(55)の自家製・オナニーストーリー
題名:「ドクター」
本文:
 高度2万フィート。私はワイン片手に、ファーストクラスの空の旅を楽しんでいた。高度のためか、地上にいるときよりも全身に酔いが心地よく早く回る。ついウトウトしていると、突然、緊迫した声にまどろみを破られた。
「急病の方が出ました。お客様の中でどなたか、お医者様はいらっしゃいませんか?」
 スチュワーデスの緊張した様子からかなりの急患が出たことが窺えた。しかし、私は今、酔っている。なにより何年か振りのまとまったバケーションにいつもの仕事を持ち込みたくはなかった。例え、ドクター失格の烙印を押されようとも。
 まあ、他にも一人くらい医者はいるだろう。私は目を瞑り、なりゆきを見守った。
 スチュワーデスたちは未だ慌しげに機内を駆け巡っている。どうやら他に医者は見当たらないようである。私は因果な仕事を選んでしまった自分に舌打ちをしてから、おもむろに立ち上がった。すぐさま近くにいたスチュワーデスが駆け寄ってくる。
「あ、お医者様ですか?」
 畳み掛けるようにそう聞かれ、「ちょっとトイレに」とジョークの一つも言おうとしたが、長年の職業病のためか私の口から飛び出したのは味気ないこんな言葉だった。
「ああ、クランケはどこだ?」
 私はぶっきらぼうに答えて、「こちらです」と案内するスチュワーデスの後をブラリとついていく。乗客たちの視線が私に注がれる。軽く頷いて、それをかわす。
 クランケは20代後半の白人女性。大きく張った下腹部を押さえて苦しんでいる。私は背の高いスチュワーデスに声を掛ける。
「すまないが、水を持ってきてくれないか」
「お湯じゃなくていいんですか?」
「それはまだ後でいい。私が飲みたいんだ」
 落ち着いた声で、浮き足立っているスチュワーデスを諌める。そして私はクランケの腹部にそっと手を添えた。
「OK,ノープロブレム」
 そう何度もやさしく囁き、クランケを落ち着かせる。
「先生、お水です」
 先程のスチュワーデスが私にコップに入った水を差し出す。本当なら赤い水が飲みたいところだ。ゆっくりとコップを傾ける私に業をにやしたのか、
「あの、先生、そんなにゆっくりされていて大丈夫なんですか」
 とスチュワーデスが私を急かす。これだから素人は困る。焦って直れば、ドクターはいらない。私は彼女にコップを手渡すついでに、柔らかい彼女の手を握った。
「落ち着きなさい。はっきり言って、このクランケはもう手遅れだ。さすがの私の手にもおえんよ」
「そんな、先生、どうにかしてください。こんなに苦しんでるんですよ」
 スチュワーデスは私の手を固く握り返しながら、意識朦朧とするクランケを見遣る。私は最高の笑みを彼女に捧げる。
「いや、だから、ほんと無理なんだって。まあ実を言うと、私は単なるお医者さんゴッコが好きなおっさんだからさあ、ハッハッハッ」
 私がそう豪快に笑ったときの、スチュワーデスの歪んだ顔がたまらない。
 その顔で、何度もイケる。
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by yoshiotoyoshiko | 2007-04-11 16:29 | 企画置き場